かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

羊飼いの国:イタリア滞在中の思い出

ゴールデンウィーク中は、昔イタリアで書いていたブログから再掲することにしました。よければ読んでみてください。 *** 2018/4/5 私の家の近くには沢山の広い牧草地があり、羊が放牧されています。今の時期は子羊が一緒にいることもあり、とても可愛いで…

石との関係

前の文章で絵本について考えていたら、本を読むのも好きだったけれど作るのも好きだったことを思い出しました。厳密にいうと本ではなくスクラップ帳のようなものを作ることに、小学校に入りたてのころの私は熱中していました。 当時の新聞には、ときどき宝石…

細かいものをじっと見つめる

小さいころから本が好きでした。幼稚園の外遊びの時間にも、外に出ずに本を読んでいたいと思っていました。図書館にも足しげく通って、借りられる上限いっぱいまで本を借りて帰るのが常でした。ですが、あのころ読んでいたはずの絵本の記憶はほとんど残って…

大盛りの店と負けず嫌い

私の通っていた大学の周りには学生がたくさん住んでいました。大学も含めたその街全体が学生のために出来上がっているようなところでした。飲食店もほとんどが学生向けで、安くて大盛りであることがひとつの大きな価値になっていました。当時はちょっとした…

盛り合わせと信頼感

外食のさいに、盛り合わせをあまり頼まなくなりました。以前はお刺身や焼き鳥、てんぷらなど、色々な種類の盛り合わせを「とりあえず」で頼んでいました。それがあまりなくなったような気がします。 一番大きい理由は、大人数での食事をほとんどしなくなった…

足元の小さな世界

小さいころ、一番身近な虫はアリでした。家の勝手口の下には階段がわりのコンクリートブロックが置いてあり、その足元がアリの通り道になっていたのです。2~3㎜くらいのうす茶色のアリがせわしなく行ったり来たりするのを、ブロックに腰かけて飽きずに眺…

音を楽しむ

歌詞がついていない曲をきくようになったのは大学生のころでした。それまでは、音楽は歌われる言葉に彩りや雰囲気を加えるためにあると思っていました。音楽の授業で歌詞のない音楽を演奏したり聞かされたりしても、なにを感じればいいのかわからず物足りな…

行きづらいけど憧れる国

イタリアに住んでいた時、借りていた部屋の内装にはどことなくアラビア風の雰囲気がありました。ベッドに唐草模様の装飾がついていたり、アラビア文字のカリグラフィーが玄関に置いてあったり、飾ってあるランプやタイルの色柄が中東めいていたり、といった…

季節の香り、天気の香り

朝、家のドアを開けたときに、季節が変わったと感じるときがあります。外の空気のにおいが明確に変わる日があるのです。今日がまさにその日で、まだ4月なのに初夏の香りがしました。草の新芽の薄緑色の香りです。 梅雨の始まりにはひやりとした湿気のにおい…

早朝筋トレの効用

復職にむけたトレーニングの一環として、通勤時間に合わせて起床して活動を始めるようにしています。そのため、朝は5時ごろに起きています。 実際に通勤するわけではないので、起きた後の時間を持て余してしまいます。起きてすぐは本を読む気分でもなく、家…

意外に楽しい選挙戦

私の住む町で、もうすぐ選挙があります。選挙前には各候補者の主張を載せた広報が届きます。これを読むのがいつも楽しみで、今回も待ち遠しく思っています。 それぞれ身銭を切って立候補しているだけあって、町をこうしたいという強い思いが紙面から伝わって…

すいぞくかんと父の思い出

ここ何回か続けて父親のことを書いているので、忘れかけていた小さな事をいくつも思い出します。そうすると、胸の中がくしゃっとしたような不思議な気分になります。 私は父が年かさになって生まれた子供だったためか、小さいころはずいぶんかわいがられまし…

父の野菜定期便

実家の父の趣味の一つは家庭菜園です。30年以上前に市民農園の一角から始めたそれは、一時期は趣味の域を越えるのではないかという規模になっていました。離農するコメ農家から棚田を借り受けて車で片道1時間以上かけて田んぼの管理に通い、シイタケ農家…

怖い夢にもらった勇気

明け方にとても怖い夢を見ました。 私は実験をしていて、その向かいで後輩も実験をしています。後輩が使おうとしている実験機器は、不適切な扱いをするとある一定の確率で大事故を起こします。彼がまさしくその不適切な使い方をしようとしていて、すんでのと…

顔の見えない勉強友達

当座の目標にしていた資格を3月までに取り終わったので、次の目標にTOEICを置いて勉強を始めました。英語運用能力をはかるための試験に対して対策をする、というのは少し違和感があるのですが、やり始めると楽しくなってつい熱中してしまいます。また、TOEI…

図面の裏紙

子供のころ、メモ帳といえば父親のお手製の紙束でした。父は建材工場のたたきあげ工員で、毎日作業着を着て働きに出ていました。その仕事で余った裏紙を、家のメモ帳にしていたのです。もともとB4版だった紙をB5かB6のサイズに小さく切って目玉クリップで留…

みかん水の思い出

私がまだ小さかったころ、弟が生まれました。弟は体が弱かったので、生後しばらくは母親は弟の世話にかかりきりだったようです。そのため同居していた祖母が、私を幼稚園に送り迎えしてくれていました。 幼稚園のすぐそばには古くからの駄菓子屋があり、店先…

花が歴史を物語る

私は今、築60年くらいの集合住宅に住んでいます。敷地内には5階建ての建物がいくつも並び、建物の間のちょっとした空き地には芝や木が植えられています。住民の入れ替わりが多く、3月から4月にかけては毎週のように引っ越しのトラックが来て荷物を出し…

散りゆく桜も面白い

桜の花がそろそろ散ってきました。これだけたくさん咲いていると、散っていくところも散った後も楽しめて良いなと思います。満開のころよりも散り際のほうが面白いこともあります。 最近好きだなと思ったのが、アスファルトに落ちている花びらです。晴れた日…

私を励ましてくれる桜

忘れられない桜の景色があります。博士課程の2年目に民間企業への就職を目指して就職活動をしていた時に、東京駅の駅前で見た桜です。 その頃は研究で行き詰っていて、卒業に必要な論文数をそろえられる見通しも立たず焦っていました。実験を仕掛けてから最…