かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

散りゆく桜も面白い

桜の花がそろそろ散ってきました。これだけたくさん咲いていると、散っていくところも散った後も楽しめて良いなと思います。満開のころよりも散り際のほうが面白いこともあります。

 

最近好きだなと思ったのが、アスファルトに落ちている花びらです。晴れた日が続くと、乾いた状態の花びらが道路脇に吹きだまっています。そこに風が吹くと、降り積もっていた花びらがいっせいに立ち上がり、転がっていきます。小さくて薄い丸いものがくるくる、ころころと走っていくさまは見ものです。落ちた花びらは雨が降ると茶色く縮こまってしまい、この光景は見られなくなります。春のいい天気の間に見られるかわいらしい景色です。

 

畑のあぜ道を歩いていると、ちょっといい風景を見られます。今の時期の畑は次の作物のために耕されてしっとりとした濃い茶色の土が平たく広がり、その上に農家の方が歩いた足跡が点々とついています。時には何か犬か猫のような動物の小さな足跡が横切っていることもあります。畑のそばには桜の大木があります。その花が散ると畑の中の足跡に花びらが溜まり、桜色のいろいろな足跡が畑のあちこちに伸びてゆくのです。青空の下でそんな風景の中を散歩していると、とてもいい気分になります。

 

桜の木の下にいると、咲いたままの花がぽろぽろと落ちてくることもあります。そんなときに上を見上げると、だいたいヒヨドリかスズメがいます。花の根本にある蜜を食べるために、花をちぎって落としているようです。なわばり争いなのか、時々大きな鳴き声をたてて騒いでいることもあり閉口しますが、花をくわえてうろうろしている鳥を見ると自然にほおが緩みます。子供のころ、通学路の脇に咲いていたツツジやパンジーの花をむしって、裏にある蜜を吸いながら帰ったことを思い出します(今ふりかえるとよろしくないですね 笑)。人も鳥も同じですね。

 

桜の咲くころの暖かい気候は、こんなとりとめのないことを考えるのにうってつけです。寒い時期は目を行先にしっかりと向けて足早に歩いていましたが、今はぼんやりと視界を広げてゆっくりと歩けるからです。暑くなるとそうも言っていられず、頭の中は早く冷房の効いた建物に入りたいの一色になります。この季節の間のほんのひと時、周りにあるものを楽しみながら過ごしていきたいです。

 

 

今週のお題「お花見」