かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

酷暑の夏、虫の変化

*今回は虫の話題です。苦手な方は気をつけてください。

 

我が家のベランダにはたくさんの鉢植えがあります。お盆休み明けに帰宅した時には皆、水が枯れてぐったりとしていましたが、慌ててたっぷりの水をやると翌日には復活していました。植物というのは強いものです。

 

植物にはさまざまなお客さんが来ます。野鳥を除いて1番多いのはレモンにくるアゲハ蝶で、時おり幼虫が葉をサクサクと音を立てて食べています。ずんぐりとした体付きが何とも可愛らしく、1匹くらいは羽化しないかと期待しているのですが、いつもいつの間にか鳥に食べられて姿を消しています。

 

次によく来る、そしてあまり歓迎できないお客さんはオオスカシバです。ハチと蛾の合いの子のような見た目で、愛好家もいるらしく飼育している人もちらほらインターネット上で見かけます。ただ、幼虫がクチナシの葉を凄い勢いで食べてしまうので、見つけ次第別の場所にさよならしています。一度などは幼虫にしばらく気づかず、クチナシの木がほぼ枝だけという有様になってしまいました。その後、幼虫を全部よけてやると葉は生えてきましたが、よほどのダメージだったのか花をつけなくなってしまいました。

 

花も無いのにどうしてオオスカシバがこのクチナシの存在を知るのか分からないのですが、ほぼ毎年、夏の間はこの虫との戦いが続きます。そして今日、いつもの幼虫に似ているけれど体や足の模様が違うものを見つけました。初めて見る形態だったので興味をひかれて調べてみると、同じ属の『リュウキュウオオスカシバ(以下リュウキュウ)』という虫と分かりました。図鑑によると、我が家から遠く離れた南西諸島や九州南部、四国南部に分布しているそうです。また、通常のオオスカシバが25.5℃から28℃未満で羽化するのに対し、リュウキュウは26.5℃から28℃以上の温度帯で羽化するとのことで、より暑い地域に適応した種と言えそうです。

http://science.ryukyushimpo.jp/wp-content/uploads/2017/tida/201726.pdf

 

種の分布が急激に変わることは考えづらいので、図鑑の説明とは異なりますが、リュウキュウも実は我が家の近くに細々と暮らしていたのだと思います。そして、今年はいわゆる春の時期が短くすぐに真夏日が続くようになったため、オオスカシバが羽化の時期を見失い、リュウキュウの方が優勢になっているのかもしれません。

 

これが今年だけの傾向なのか来年以降も続くのか、とても興味深いです。一方で、オオスカシバにせよリュウキュウにせよ、やって来られるとクチナシの木が痛んで可哀想なので、できれば来ないで欲しいのが本音です。