かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

日常にただいま

礼文島から帰ってきました。台風の影響なのか往路にあんなに酷く渋滞していた高速はがらがらで、予定時間より大幅に早く目的のバス停に到着しました。

 

そこから先は電車で自宅近くの駅まで向かいます。いつも通勤に使っている路線で、改札を通るときには定期券利用という表示が目の端をよぎります。暑く湿った空気を吸うときや人ごみをすり抜けて道を進んでゆくときよりも、ああ帰ってきたな、と感じさせられる瞬間です。大体の遠出の時はいつも、この路線を通るのです。

 

仕事帰りの乗客とあからさまに行楽帰りの乗客が入り混じり、仕事帰りのひとは少し迷惑げな表情です。私も逆の立場なら、意識的にせよ無意識にせよそんな気配を出しているのかもしれません。そして明日からはまた、その一員として日々を送ることになります。

 

電車の中の人は、照明のせいかみな疲れて見えます。これだから都会は、という考えがよぎってすぐ、それは違うなと思い直しました。出かけた先の観光地の人々が楽しげだったのは、お客さんとしてやって来た人か、それを職業人として出迎える人しかいなかったからです。そんなハレの日の、ある種虚構的な雰囲気と引き比べて今いる場所を見下すのは何か間違ったことに思ったのです。電車で疲れている人は、誰かのハレを彩った人かもしれません。そして、ケの日を着実に生きることも、次のハレを迎えるためには大事なことなのです。

 

不在の間に膨れた未読メールやチャットを捌いて、休みの前から持ち越しになっている課題やいつの間にか持ち上がっているだろう問題に立ち向かう日常がまたやってきます。それはそれで楽しい日々であったと思い直して、明日からまた頑張ろうと思います。