かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

シジュウカラの巣立ち その2

5月の中頃に、ベランダの巣箱からシジュウカラのヒナ6羽が巣立って行きました。親鳥がヒナに呼びかける声が大きくなってくると、巣立ちの頃合いです。窓を開けて寝ているとその声で起こされるほどで、無事に巣立った時は感動半分、やっと静かになるとの安堵半分といったところでした。自分が起こされるだけならまだしも、周囲の家の迷惑になっているのではと気が気でなかったのです。

 

巣立ち後しばらくはヒナが帰ってくることもあると聞き、巣箱を片付けずにいました。すると、その一週間後に新たなペアが巣箱の見学に立ち寄るようになりました。先住者が帰ってこないことを慎重に見計らい、自分達用に少しアレンジしたいのかしばらくコケや動物の毛を運びこんだあと、6月の頭に卵を産み始めました。一シーズンに二度も、しかもこんな梅雨の最中に産卵を見たのは初めてで驚きました。

 

我が家の近くでは大規模な再開発が行われており、林や田畑が住宅に変わっていっています。つい最近も沢山の木が倒されていて、もしかしたらこのペアはそこに巣を構えていたのかもしれないと思いました。巣作りや抱卵の途中で環境が大きく変わると、鳥は巣を放棄して別の場所で営巣し直すことがあるようなのです。もしそうだとしたら、気の毒なものです。

 

卵は最終的に6個になり、そのうち4個が孵化しました。ある論文によると、梅雨どきになると幼鳥が食べられる芋虫の類が少なくなり繁殖の成功率が下がるそうです。それを読んで心配していましたが、親鳥たちはどこからか食べ物を探しては持ち帰っていました。野生の動物は想像以上に逞しく生きているようです。気温が30度を越える日が続いたころは巣箱の中でぐったりしていたものの、ヒナ達は順調に大きくなっていきました。

 

昨日あたりから、また親鳥の呼びかける声が響くようになりました。ヒナも充分育っていて、巣箱の中でしきりに羽ばたいています。そして今日の昼、ついに皆揃って巣を後にしました。後には空になった巣が残っているのみです。

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今日からまた鳴き声に邪魔されずに眠れるぞと思う反面、やはりいなくなるとさびしいものです。全員が生き延びることはできないと分かっていても、やはり元気に次のシーズンを迎えられるよう願ってしまうのです。