かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

シャツに今の気持ちを託す

復職する直前に、リネンのシャツを2枚買いました。服を含めて、物をあまり買わない私にとっては珍しいことです。それなりにいい値段がする長く着られそうなシャツなので、大事に着ようと思います。

 

あまり物を買わない生活のいいところは、買った時の記憶が鮮明に残ることです。どうしてそれを買いたいと思ったのか、どこに誰と買いに行ったのか、買うときに何か迷うことがあったのか、そして、その時に置かれていた自分の環境や考えも、買った物を見ると思い出すことができます。なにか一つの物語が、その一つの物から立ち上がってくるように思えるのです。

 

今回買ったシャツは、これから職場によく着ていくことになります。復職する前後に感じていた不安や焦り、それを乗り越えるために考えていたこと、そういったすべての記憶がシャツの上に残ればいいと思います。できれば来年や再来年に同じシャツを着た時に、今の自分はあの頃の困難をうまく乗り越えられたと自信を感じられたらとも思います。もう二度と袖を通したくない、なんてことにはならないようにと信じています。

 

自分への約束や決意などの形にならない思いを忘れないようにするためには、物が持つ記憶の力をうまく利用するのが効果的なのかもしれません。記念日に物を送りあうことはあまり好きではなくて、大きくなってからはそういう習慣を遠ざけてきました。一方で、その瞬間の互いの気持ちを刻んでおくにはいい方法のようにも思います。習慣として残ってきている事柄は、一見面倒なようでも何かしら意味があるのだなと改めて思いました。