かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

復職後の瞬発力と持久力

休職してしばらくたったころに知人に勧められたのが、森下克也さんの「もしかして、適応障害?」という本でした。不調が身体に出るか精神に出るかの違いはあったにせよ、過労が原因で休職に至った私にとってはとても身につまされる内容でした。

 

休職する直前、今思えばすでに体がおかしくなっていたはずなのに全く辛くなく、なぜかいつもより生産性良く働けている気がしていました。それは無意識のうちに体への感受性を鈍くする「失体感症」という状況に加え、抗ストレス反応で分泌されたホルモン群によって高揚感を得ていたからでした。本に書かれていたこの解説は非常に納得のいくものでした。加えて、なぜ心身が壊れるまで働いてしまうのか、休職期間に何をすればいいのかといった、休職して間もない私が知りたかったことが、平易な読みやすい文章で書かれていました。もしご自分や身の回りの人の体調や様子に違和感を感じている方がいらしたら、ぜひ読んでみてほしいです。

 

この本では、復職後の過ごし方についても多くのページ数が割かれています。その中で重要なこととして挙げられているのが、復職後の「瞬発力」と「持久力」です。これらの内容が今の私にとってとても心強く感じたので、今回の文章のテーマにしました。

 

まず「瞬発力」についてです。復職してすぐの期間には、職場から長期間離れていたことによる劣等感、孤立感、罪悪感に襲われることがあります(まさに私自身が今これを感じています)。一方で、これらの感覚は最初の一週間を乗り越えれば徐々に解消されます。この期間の不安に耐える瞬発力が、そのために重要なのです。また、不安を克服するために、自分がが復職者という特殊状況にあること、周囲と同じようにできなくて当然だと割り切ることも必要になります。開き直りがこの時期には役に立つのです。

 

ついで「持久力」についてです。復職後は職場からの配慮により業務が薄くなり、貢献感や存在意義が揺らぎます。周囲との比較が、そこに拍車をかけます。その居心地の悪さにとらわれて自分を見失うと、ネガティブの坂道を転げ落ちてしまうのです。復職後の数か月程度はこの状況が続くと考えて、それに対応できるだけの持久力を養うことが重要です。そのためには、周囲とは事情が違うこと、自分のペースを守ることを心がけて、過剰に自分を貶めないことが大切です。

 

復職直後にはどうしても焦りの気持ちが出てきがちですが、今は仕事の成果を求める時期ではないのです。決められた時間の中で心身を職場に馴らすことを目的に、しばらくの間は過ごそうと思います。