かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

インディのせいで高い場所が苦手

高い場所で、足元から地面が透けて見えるような状況が苦手です。よく高層ビルの観光向けのフロアにある、床がアクリル板になっているようなところです。あの構造を見るだけで背中にちょっと冷や汗が出てきます。海外にある全面ガラス張りの橋なども、ちょっと厳しい気持ちになります。

 

一番はじめにこの気分に気づいたのは、小学生に上がるかどうかくらいの年頃でした。四国旅行に行った先で、徳島の「かずら橋」を渡らされたのです。切り立った渓谷の間を、山に生えるツル植物と木材でつないで作った橋です。普段渡っていたコンクリートの橋と比べると、ツルはどこかでちぎれてしまいそうに、木は誰かが踏み抜いてしまいそうに見えて、いかにも頼りなく思えました。そして、足元は子供の目から見るとスカスカで、広く隙間が空いているところから簡単に下に落ちてしまいそうでした。

 

ちょうどタイミング悪く、テレビ放送されていた「インディ・ジョーンズ」のシリーズを見ていたのです。古い遺跡に架かる切れかかった橋を走って渡る、そんなイメージが頭に焼き付いていて、この橋に自分が足を乗せたらその瞬間に橋が崩れだすのではないか、という空想で頭がいっぱいになりました。そして、渡り始めてすぐのところで、橋の手すり部分を握りしめたまま大泣きしてしまったのです。周りの大人は笑っているだけで、それに凄く腹が立ちました。最終的に誰かに背負われて渡ったのだと思います。

 

それから先も、足元が透けて見えるような場所は苦手なままです。あぁこの場所は危ないな、と思った瞬間に、その場所が崩れる様子や自分がバランスを崩して落ちる様子を想像し始め、ぎりぎりのところで手をひっかけてどうにか這い上がろうとしている自分やなすすべもなく落ちていく自分が目に浮かび、そして、その事故を報道しているニュースが頭をよぎって、足がすくんでしまうのです。時には通行人のインタビュー映像(知らないおばさんが「あそこは危ないと思っていたんですよ~」と言っている)のイメージまで、一瞬のうちに作り上げてしまいます。そうなるともう、腰が引けてどこかの手すりにつかまらないではいられなくなるのです。

 

いま少し心配しているのは、ビルの避難用に設置された外階段です。時々避難訓練で使うそれは、雨水をためないように足元がメッシュ状になっていて、一番下の階まで見通せる状態になっています。そして風雨にさらされるせいで、ところどころが錆びています。今思い出すだけでもぞくぞくします。実際に使う状況だと変な想像をしている余裕はないかもしれませんが、途中で動けなくなって迷惑をかけてしまうことだけは避けたいものです。

 

お題「わたしは○○恐怖症」