かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

モノはあまりいらないけれど

ここ数年、物欲がさっぱりとなくなりました。昔は買い物に出たら洋服や雑貨を何かしら買っていたのに、今は見るだけで満足です。買っているのは食べ物と本、清掃用品などの生活必需品くらいです。とはいえ、家は本で散らかっています。ちょっと休憩、とできるような場所すべてに読みさしの本が置いてあるので、家の中の動線が積んである本を見ればわかるような状態です。Kindleもその山のどこかにいつも入っています。電子書籍リーダーがあるだけで、散らかりが少しマシになっているかもしれません。まぁ、この状態も、それはそれでいいかと思いながら暮らしています。一部を除いて、本は読み終わったらまず直近では読み返さないので、そのうちまとめてどこかに売りに行きます。

 

物欲がなくなったのは、持っているもののほとんどすべてを一度捨てたことがきっかけでした。日本の住居を引き払って海外で生活するためです。その時に、自分の手で持てるスーツケース2つ分のものを残して、ほぼ全てを廃棄しました。倉庫を借りて保管することもできたのですが、安くないお金を払ってまで本当に残したいのかを考えると、そうしたいものは特にありませんでした。いらないものを袋に詰め、市のごみ処分場に持ち込むことを繰り返しました。小さいころから持ち続けていたぬいぐるみ、大学入試の前に高校の後輩からもらったお守り、亡くなった祖母からもらった小物、など、心残りが少しあるものも今思い返せばあります。ただ当時は、当面の生活のために本当に必要なものしか残す余裕はありませんでした。その後は、新しいものを買うと捨ててしまったものたちに悪い気がして、また、買ってもそのうち捨てなければいけないという思いがあって、それらの気持ちを乗り越えてまで買いたいものはほとんどありませんでした。そうこうするうちに、ものが欲しいという感覚自体が薄くなっていきました。

 

今持っているものも、いざとなればいつでも手放せるものたちばかりだと思っています。ただ、もしそうするとなると心残りになるだろうと思うものもあります。ベランダにある、種から育てたレモンの鉢植えです。帰国後に育て始めて、1m近くの高さに成長しました(あまり大きくなると困るので剪定して調整しています)。毎年アゲハチョウが卵を産みにきて、生まれた幼虫をシジュウカラが食べに来ます。虫も鳥も、どこから食べ物の気配を感じてやってくるのか不思議に思います。最近、シジュウカラのために水場を用意してやると、幼虫の時期以外にもベランダにやってくるようになりました。カーテン越しに水浴びの様子を眺めていると、とてもやさしい気持ちになります。この小さい環境が、いま一番大事に思っているモノだなと思います。

 

書く習慣1か月チャレンジ、今日は「あなたの一番大切なモノ」というお題でした。