かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

祭りの日

能登に滞在していた間に、2つの祭りに行き会いました。もとは別の日に行っていた祭りを、参加者の確保や観光資源としての活用を目指して連休にずらすのはよくあることのようです。そういう仕掛けがあったとしても、祭りに偶然出会えると嬉しくなります。

海上での祭りの後に港に停泊中の船。お疲れ様です。

出店がずらりとならんだ祭り会場に人がつどい、ぶらぶらと祭り見物をしている様子はとても新鮮でした。都心への通勤で見る黒っぽい群衆とは違って、そこには鮮やかな色がありました。そして顔一面の表情がありました。それが、祭りの雰囲気と合わせてたまらなく懐かしいものに感じました。

 

印象に残っているのは、七尾市の青柏祭です。高さ12mほどの山車(でか山)を引いて町中を練り歩く行事で、地元の方だけでなく観光客もでか山引きに参加できるのです。重さ20トンという情報のとおり、一度止まったでか山を動かすのはかなり大変で、前方につなげられた数本の綱を何百人もで力を合わせて引かなければなりません。その代わり、動き出すとかなり勢いが付き、大勢の人と綱を引きながら大声を上げて走っているととても爽快な気分になります。

 

でか山の走行経路上には、両側に住宅が迫る細い道やクランクなどの難所がいくつもあります。ぶつかりはしないかとやきもきしますが、町の人がうまいこと力づくで曲がらせていきます。動いていくでか山を、ビルの渡り廊下にぶつかる寸前でぴたりと止める(いいタイミングで車輪の下に車止めをかませる)様は大迫力でした。

ビルの3階の渡り廊下の前で寸止めされる”でか山”。

こういった見せ場の後に、町の人がでか山を囲んで歌い、その真ん中で若い衆が踊ります。聞き覚えの無いその歌は、おそらくこのあたりの民謡なのでしょう。それを子供から年寄りまでが声を揃えて歌っている様子が心を打ちました。私が生まれ育ったのは戦後に新しく作られた町なので、こういった伝統はありません。そのせいか、皆が心を合わせられる文化を持っている人たちをひどく羨ましく感じたのです。

 

伝統や文化があることで縛られる部分もあり、またハレの日以外にはきっと苦労もあると想像します。それでも、それらを乗り越えてここまで残ってきたものに出会えて、本当にうれしく思いました。

 

今週のお題「何して遊ぶ?」