かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

並んで座る二つの背中、犬のいる暮らし

さいころは犬が大嫌いでした。隣の家で飼われていた中型犬が家の前の道路を通るたびに吠え掛かってくるので、とても怖かったのです。どれだけひっそりと気づかれないように歩いても何かをかぎつけて犬小屋から出てきて、待ち構えていたように塀から顔をぬっと出して、敵意もあらわに激しく吠えるのです。その犬のせいで、身の回りのありとあらゆる犬が怖くてたまりませんでした。

 

でも小学生のころに、兄が犬が飼いたいと言い出しました。隣家の犬はなぜか兄には吠え付かず、兄は犬が怖くなかったのです。父も実は犬が欲しかったようで、話はトントンとすすみました。市の広報紙の「子犬あげます・ください」のコーナー(当時はそんなのがあったんですね)に載っていた3か月の雑種犬が、晴れて我が家の犬になったのです。ぱっと見では何犬か全くわからないその犬はぐんぐんと成長し、小さいゴールデンレトリバーくらいのサイズになりました。性格の優しい犬で、よく犬と私で日がな一日犬小屋の前に並んで座っていました。犬が大きくなるころには、犬嫌いはすっかり克服できていました。

 

その犬が交通事故で死に、今は実家の家の犬は3代目になっています。私が家を出てから買い始めた犬で、実家に帰ったときは、父の知り合いだからまあ許してやるかというよそよそしい態度でおとなしく撫でられています。そういうとき、犬がいる暮らしもいいなぁと思います。

 

最近、ちょっとした暇つぶしでスマホを見ていると、たびたび動物の動画が流れてきます。そのなかでも犬の動画は、飼い主へ寄せる犬の好意や愛情が画面越しにも伝わってきて、無関係な自分でもその犬にとても懐かれている気分にさせてくれます。犬っていとおしい存在だなと思います。なかでもお気に入りの動画は、ジャーマンシェパードのBensonの動画で、新しいものが出るとつい見てしまいます。

https://www.instagram.com/bestboybenson/

 

シェパードは自衛隊や警察などの仕事犬としての姿しか見たことがなかったので、こんなに愛らしい顔をしているとは知りませんでした。もともとのイメージとのギャップに、見るたびにいつも顔がほころんでしまいます。一緒に走り回れたら楽しいだろうなと、自分もまた犬のいる人生を想像したりもします。このサイズ感の犬を飼うのは、住宅事情や飼い主側の生活事情を考えるとなかなか難しいところです。でもいつか、三角座りした自分と同じ目線の高さになるくらいの大きな犬とひなたに横並びで座って、時々頭や背中をごしごししたりしながら(時々よだれをよけたりしながら)ゆっくり過ごしてみたいなと思うのです。

 

お題「ネット上で恋をした」