かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

耐える力

何かに耐えることが、割と得意だと思います。

例えば知識や技術をを身に着けるとき、やり始めてしばらくは、あまり楽しくない基礎練習(文字や用語をおぼえる、動作が定着するまで繰り返す)が続きます。それが特に苦にならずに続けられます。また、定着度を測るためのテストがわからない、考えた末に間違うなどは少し不愉快ですが、それもしょうがないと思えます。私はいわゆる「勉強」が割とよくできます。これは、そのおかげかなと思います。

 

身体感覚的に厳しい状況、例えば気温が低い中で薄着で過ごさなければいけないとき、別のことに集中して気を紛らわせることができます。よくやるのは、寒いという感情ではなく、寒さに対する体の応答に目を向けることです。皮膚の表面が収縮している、毛が逆立つ感じがする、筋肉が伸縮する、などを、できるだけ細かい解像度で(腕のある領域1㎝四方など)体全体を順繰りに見ていくと、いつの間にか寒いという感覚を抜けることができます。これはいつか体調面で別の問題を引き起こす気もします。

 

精神的につらくても、ある程度やり過ごすことができます。つらい時期を過ぎるとつらさを忘れられる、少なくとも生々しく思い出すことはできなくなることが体感として理解できたことが大きいです。それが分かるまでは、やはりつらかったです。この体感を得られたことは、年を重ねて良かったと思えることの一つです。ただ、つらい状況に対して終わりが想像できないと、やはり耐えるのが難しいです。

 

年を重ねたことで、耐えるやりかたにも工夫が出てきました。若いころは、圧力に対して真正面から受け止めて耐え抜くことしか知らず、抜け道も持っていませんでした。今は、耐えずに逃げる選択も持ち得ることや、理不尽な圧力に対しては大人の手段(根回し、懐柔、その他)で切り抜けることもできる、したたかさを身に着けてきています。もし子供のころの自分に出会うことができたなら、そういう悪い知恵を教えられる大人でありたいです。