かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

好きなものに愛を伝える方法

休日にはたいてい、農産物直売所に行きます。家の近くにあるもの、少し遠出をした先にあるもののどちらも、それぞれ楽しいです。並んでいる野菜の顔ぶれが季節ごとにかわっていくことや、その土地ならではの野菜があることを知れたり、名前を聞いたこともない海外の野菜や果物との初めての出会いがあったりします。

家の周りは昔から畑が多い土地柄でした。都市部から家のほうに向かう電車の中で、ビル街から徐々に畑が増えていく車窓の様子をながめるのが好きでした。ただ、近頃は畑をやめて宅地にしてしまうことが多いようです。つい最近まで青々としていた畑が急に茶色くなり、建築計画の白い札が立っているのを見ると、とても寂しい気持ちになります。そんな中で、隣の畑でまだぶら下がっているナスや葉を茂らせたニンジンを見ると、がんばれと言いたくなります。

 

休日には本屋にもよく行きます。小説の単行本の棚の間を、背表紙に目を走らせながらゆっくりと歩くのが好きです。ときどき、本から呼び止められたように、背表紙に目が留まることがあります。そういった本に特段の共通点はないのですが、読むと不思議と自分が求めている物語がそこにあります。科学技術書の棚を歩くと、自分がまだ見たこともない世界が無尽蔵に広がっていることに心躍ります。ビジネス書や自己啓発書のコーナーはいまだに少し苦手です。

本を何冊か買って、併設された喫茶店でコーヒーを飲みながら本の世界に没頭すること、帰りの電車でカバンの重さに辟易しながら買ったばかりの本のページをめくる時間も良いものです。

 

オーケストラのコンサートに行く休日もあります。コンサートホールの客席に座って、プログラムを見ながら曲を予習し、初めて聞く曲の楽しみ方に頭を悩ませ、ときにはっとするほど美しい旋律に心を動かされ、時々眠気に負けてうとうとすることもあります。美しい旋律はそこだけを聞いても美しいのですが、曲の中でそのフレーズに向けて積み上げられた音の上に現れるとき、さらにはその後に展開していくさまを一連の流れの中で聞くのは喜びに感じます。何百年も前に作られた音楽が今の自分の心を動かしていることも、本当にすごいことだと思います。

 

私が余暇を過ごすときには、自分の好きなものにきちんとお金を払うことを心がけています。美しい田園風景や本、オーケストラの音楽を、無料で楽しむこともできます。でも、それだと作り手の側には何も届かない気がします。受け取っているものの対価を目に見える形で返したい、そうでないと、好きなものがどんどん消えていきます。畑も本屋も演奏会も、経済的な競争や「不要不急」という言葉に押されて影が薄くなっています。そんなときに、「私はあなたを必要としている」というメッセージを発することで、少しでも支えになれたらと思うのです。自分でお金を稼ぎはじめてそれができるようになったのは、私にとってとてもうれしいことです。

 

書く習慣1か月チャレンジ、今日は「好きな休日の過ごし方」でした。だいぶ脱線してしまいました…。