かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

風景の写真、ラジオ

旅行に行くときには、予定を決めすぎないようにしています。今回は連休だったので、能登までの行き帰りの交通機関とレンタカー、宿泊施設は事前に押さえていましたが、これが最大限の準備です。現地での行き先や行程はおおむね行き当たりばったりで、ふわふわと何となく移動しています。

 

事前にガイドブックを見てしっかり考えていた時期もあったのですが、いつの頃からかそれはやめてしまいました。行くと決めた場所に順繰りに移動していくこと自体が旅行の目的になり、スタンプラリーのような作業になってしまったからです。名所っぽいところに行って写真を撮って次の場所へ向かう、それってずいぶん味気ないことだと思いました。一時期はそれで写真を撮るのもやめてしまったほどです。ただ、今度は行った場所をどんどん忘れてしまうことに気づいて、なんだかいいなと思った場所は写真で残すことにしました。

 

今回の旅行の写真フォルダは海と空の色が多くて、自分が意外に海の風景が好きだったんだと気づきました。こうやって少し遠くから自分を見ることで、新しくわかることもあるようです。

波の無い入り江、鏡のような海面

黒い瓦と板壁の家

牡蠣の養殖いかだ

ほとんど毎日のように能登半島の海岸線を運転していて、その間はずっとNHKのAMラジオを聞いていました。午前中は「こども科学電話相談」という番組が流れていて、ボイジャーは今どこにいるのか、人間の指はなぜ5本なのか、といった小学生の質問に専門家たちが答えていました。自分はもう子供ではないけれど、聞いてみたいことや知りたいことは山ほどあるなと思いました。

 

ラジオを聞きながら車で走っていると、だんだん電波がとぎれとぎれになり、放送が聞こえなくなっていきます。この瞬間が好きで、ああ遠くまできたんだなと実感します。受信できるチャンネルを探しているときにふと地元のラジオ局が入ることもあります。知らない店のコマーシャルやローカルな話題が入ってくると、まったく分からないのについ聞き耳を立ててしまいます。町を通り過ぎればすぐに入らなくなってしまう、そんな放送も楽しいものです。地形の関係でラジオが入らない場所もあり、ずっとホワイトノイズを聞きながら運転するときもあります。そんなとき、自分がどこでもない場所にいるような気がして、とても自由になったような少し寂しいような、そんな気持ちがします。その時間も、たまらなく好きなのです。世の中が進歩していっても、この少し不便な技術は無くならないでほしいなと思います。

 

今週のお題「何して遊ぶ?」