かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

穏やかな海、ウミウシ

能登半島の海岸線をぐるりと回ってみて、海が穏やかなことに驚きました。半島の東側はリアス式海岸の入り江でことのほか波がなく、ときおり吹く風で水面が揺れるくらいです。海が立てる波音は聞こえず、ここが海ではなく湖といわれても分からないほどでした。空が青く海に映ってのどかでした。

穴水あたりの海岸線

海岸には岩礁が広がっています。さまざまな色合いの岩がこれまでの地殻変動を感じさせて心が躍ります。実のところ砂浜より岩礁に惹かれるのです。特に潮だまりがたくさんできるタイプの岩礁は自分にとっては最高の場所で、そこに生き物がいやしないかとずっと座り込んで見入ってしまいます。近づくとすごい勢いで逃げ去っていくフナムシの群れも面白く、そっと近づいては脅かしたりして意味もなく追いかけまわしてしまうのです。

 

今回は、これまでに見た事のない生き物を見つけました。体長20㎝くらいの軟体動物で、薄い褐色の体に白い小さい斑点を持ち、触角のようなものが2本ついています。前から見ると牛のような顔で体つきも牛に似ていたので、さてはこれがウミウシかと思ってわくわくしました。拾ってきた手ごろな枝で体を触ると思いのほか柔らかくつきたての餅のような触感で、海の生き物にしては新鮮に感じてついべたべたと触ってしまいました(ごめんなさい)。そうこうするうちに嫌になったのか、その生き物は岩の奥に逃げてゆきました。後で調べてみると、どうもこれはウミウシではなくアメフラシだったようです。初めて見る生き物に触れられて大満足でした。

ウミウシあらためアメフラシ

日本海は荒れた冬の海の印象が強く、また能登半島は古いサスペンスドラマや歌謡曲の舞台に選ばれていることが多かったので、失礼ながら何となく暗い情念のこもった土地というイメージがありました。ですが今回の旅行の間は晴れ渡ったさわやかな能登を感じることができました。思い込みでなく実物を見て、いい方向に印象を上書き出来て良かったです。

 

今週のお題「何して遊ぶ?」