かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

いつでもまさかはやってくる

先週、能登半島を一周してきました。石川県に行くのは初めてで、これでようやく日本の都道府県すべてを訪れて寝泊まりしたことになります。どこかに行くたびにまた行きたいと思う場所が増え、また新しい町を知るごとに行ってみたい場所が増えるので、どれだけ旅をしてもしつくせる気がしません。困ったものです。

 

ここに書きたい素晴らしい思い出がたくさんできたのですが、心にわだかまっているのは滞在中に起こった地震のことです。発災時は能登半島の付け根の七尾市という場所にいて、震度はそれほど大きくありませんでした。ちょうど大規模な祭りがおこなわれていて人が多く集まっていました。祭囃子や話し声でにぎやかな空気が、沢山の携帯が発した緊急地震速報の警報音で急に断ち切られました。電信柱がしずかに揺れて、そこに市の防災無線の音が重なっていました。

 

人が多いせいか携帯の電波がなかなかつながらず、地震の規模や震源の情報はしばらく入ってきませんでした。また、自分のいる場所がどの程度危険なのか、危険ならどこに逃げればいいのかもわからず、ただ混乱していました。能登リアス式海岸の美しい場所で、と書かれた観光ガイドの文章を思い出し、東日本大震災のことが頭によぎってとても不安でした。数分もたたないうちに祭りが続行され、再び賑わいが戻ってくると、動揺は少しづつ落ち着いていきました。

 

自宅や会社にいるときは、いわゆる適切な行動というものが分かっていて出来るような気がしていても、出かけ先だと無防備なものだなと痛感しました。その瞬間の恐怖感や不安感よりも、ただ茫然と立ち尽くしていたことへのふがいなさが印象に残っています。

 

日本は美しい場所であふれています。一方で、その美しさを作り出す自然現象が災害となって現れる場所でもあります。何かあったときに最低限でも自分を守れるだけの備えはしておかなければならないと、改めて思いました。