かもさんのひそひそ話

耳をすませば聞こえてくるよ

家を買う

家を買うことになりました。今住んでいる賃貸の集合住宅は、リフォームはされているものの築60年強となり、そろそろ建て直しの時期になり退出する必要があるそうです。これを機に、一戸建てを買うことにしました。

 

家探しを始めておおむね1か月で、よさそうな場所にある手ごろな中古住宅を見つけました。小さな川のそばにあり、古くからの神社からの森が残るいい場所です。できればほしいと思っていた庭も、思った以上に大きい面積で確保できそうです。家を買う、ということを物々しくとらえていましたが、意外にあっさりとしたものでした。

 

この「物々しい雰囲気」が苦手なのです。めんどくさそう、と思ってやめたことは、忘れてしまったものごとも含めて沢山あります。ずっと賃貸で暮らしてきた一番の理由は、そこに住んでいる限りは家を買う物々しさを味わわずにすむ、ということでした。それに、何か問題があったときにはすぐに立ち去れる、後腐れのなさが好きだったのです。いろんな判断をひとまず保留にして仮住まいをしているとき、自分はまだどこでにも行けるんだという気がしました。

 

ただ、最近はどちらかというと、好きになった場所を離れるつらさを強く感じるようになりました。これまで住んできた家はどれも、住み始めるときは特に思い入れがなくても、立ち去るときは心の一部が持っていかれるような悲しみがありました。世間的にみるとひどい家でも、付き合っているうちになじんで好きになっていきました。そうやって家と出会って離れてをこれから先も繰り返すのか、と思うと、それはそれでしんどいなと思うようになったのです。

 

それに、家を買ったとしても結局は自由なのです。面倒だと思っていたことの多くは大したことではありませんでした。むしろ一連の作業をするなかで、嫌になったら手放して別の場所に行けばいいし、多分自分はそうできる、という実感が持てたのはいい気づきだったと思います。

 

いま、家を買うことにしてよかったと思うことは、ベランダの鉢植えの木を地面にかえしてやれることです。毎年大きくなろうとする木を小さく切り詰めて鉢のサイズに戻すとき、いつも可哀そうな気がしていました。木が根付くかどうかはまだわかりませんが、新しい土地でしっかり大きくなってくれたらと思います。

 

お題「みなさんは賃貸派ですか? 持ち家派ですか? 最近家を買ったのですが、家の間取りを見るのが好きでいろいろな家に住める賃貸も改めて魅力的だなと思いました。皆さんはどちらですか?」